ビジネス上手なサッカークラブとは!?移籍金収入Top10に迫る!

こんにちは! にーにょと申します!

2020年も残すところ1週間となり、サッカーでも年明けに開く移籍ウィンドウに関する噂が増えてきましたね!

そこで、今回は移籍金収入のトップ10クラブをもとに、「移籍市場の勝者」に見えるクラブの実態について見ていきます!

ぜひ最後までご覧ください!

目次

選手放出による収入が多いクラブTop10!

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The sun紙によるデータ

イギリスの新聞、The Sunによる以下の記事では、直近10年間での選手放出による収入が多いクラブTop10が紹介されています。

The Sun
Top ten 'selling clubs' revealed with Benfica bagging £1BILLION from player sales BENFICA have cashed in a stunning £1billion from selling players over the past decade. The transfer market has continually grown ever more bonkers and top clubs...

 

The SUNによると、順位は以下です。

1位…ベンフィカ

2位…アトレティコ・マドリード

3位…ユヴェントス

4位…チェルシー

5位…モナコ

6位…バルセロナ

7位…レアル・マドリード

8位…ASローマ

9位…ポルト

10位…リヴァプール

(The SUN紙より引用。ソースはTransfermarket。)

 

やはり、各国リーグの強豪がひしめいていますね。皆さんはこのランキングからはどのような印象を受けますか?

私はサッカー史に残るようなビッグディールを成立させたようなクラブが多いなと感じました。

(ビッグディールの一例)

サッカー史上最高額の移籍金はネイマール2.22億ユーロ(約278億円!!!!)

 

1億ユーロ(日本円換算で125億円程度!)程度で売却された選手

ジョアン・フェリックス、アントワーヌ・グリーズマン、ポール・ポグバ、コウチーニョ、エデン・アザール、キリアン・エンバッペなど…

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その一方で、若手育成に定評のあるクラブが入っていないのは意外に感じました。例として、ドルトムントはウスマヌ・デンベレやクリスティアン・プリシッチなど良い選手を獲得し、高値での売却を繰り返してきていました。

ドルトムントの売却事例

ウスマヌ・デンベレ→バルセロナ

(獲得時1500万€ → 売却時1億3000万€)

クリスティアン・プリシッチ→チェルシー

(獲得時フリー → 売却時6400万€)

 

さて、こちらの記事で紹介された10クラブは本当に「移籍ビジネス」の成功者と言えるのでしょうか?

今回は移籍市場おける行動の傾向や変化について掘り下げていきます!

 

*データはTransfermarktより。

 

 

実際に収集したデータはこちら

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通貨単位はTransfermarktでの共通表記であるユーロに変更しています。

(1ポンド=0.9ユーロ)

またデータの収集方法がおそらく異なっているため、以下のグラフと上述の記事を見比べると、10クラブの順位が多少変化していますがご了承ください。

(私が収集したデータではシーズン開幕前の移籍データも収集していますが、The Sunの記事では09-10シーズン開幕以降の移籍のみを取り扱っていることが原因かと思われます。)

シート 2

クラブ(所属リーグ):09-10シーズンからデータ収集日時(2020年12月現在)における合計移籍金収入

1.ベンフィカ(ポルトガル):10億7900万ユーロ

2.アトレティコ・マドリー(スペイン):10億4000万ユーロ

3.ユヴェントス(イタリア):9億6100万ユーロ

4.チェルシー(イングランド):9億6000万ユーロ

5.バルセロナ(スペイン):9億4600万ユーロ

6.モナコ(フランス):9億4400万ユーロ

7.レアル・マドリー(スペイン):9億500万ユーロ

8.ローマ(イタリア):8億6000万ユーロ

9.ポルト(ポルトガル):8億4600万ユーロ

10.リヴァプール(イングランド):7億8600万ユーロ

 

サッカー市場全体の傾向

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まずは上記で紹介した10クラブ全体に見られる傾向について考えていきます。

移籍金の高騰

10クラブの移籍総額(放出+獲得)は以下のグラフの通りとなっています。

シート 3 (2)

移籍金の高騰はたびたび問題視されてきましたが、2017年(17-18シーズン)には、2009年(09-10シーズン)と比べ3倍以上に上昇しています。

今季(20-21シーズン)は大幅に金額が落ち込んでいますが、この理由としては

  1. COVID-19の影響
  2. まだ冬の移籍市場が開いていないこと

の2点が大きな要因と考えられます。

 

また、高騰している様子は以下のグラフにも見て取れます。

画像3

ChronicleLiveより引用

 

こちらはプレミアリーグにおける平均移籍金額であり、09-10と比べ、17-18シーズン以降は約3倍と大きく上昇しており、上のグラフと似たような傾向にあると言えます。

そこからも、移籍金の高騰は今回取り上げる10クラブにとどまらず、「非ビッグクラブ」においても当てはまるということがわかります。

 

 

レンタルでの放出の増加

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以下のグラフでは、10クラブ全体での種類別の選手放出件数を表しています。

またグラフ内の数字は2009-10シーズンを基準に、それ以降のシーズンにおける種類別の移籍件数の増加幅を表しています。

シート 4 (4)

Permanent:完全移籍(レンタル後の買取オプションを含む)

Loan:レンタル移籍

Youth:下部組織との取引

Retired:引退Free:移籍金の発生しない移籍

End of Loan:レンタルバック

Other:詳細が不明なもの

オレンジのエリアが占める割合が近年増加しており、レンタルで選手を放出することが多くなっていることがわかります。

これは、近年のビッグクラブにてよく見られる「青田刈り」を裏付けるデータといえるでしょう。

青田刈り…世界各地から将来性のある若手を移籍金が高騰しないうちに獲得すること。その後は他クラブへレンタルして出場機会を与えることが多く、成長後にクラブに戻すか、転売するのが一般的。

 

「移籍金高騰」の正体

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上記より、10クラブにおける移籍金総額が増加していることがわかりましたが、その理由は、単純に「逸材」に対して過去とは比較にならない莫大な移籍金が投じられるようになったということでした。

 

以下のグラフは移籍金の金額帯ごとの合計放出件数を示しています。

これを見る限り、ビッグクラブの取引においても、大部分は1000万ユーロを下回る比較的安価なものであると言えます。(注:レンタルやフリー移籍なども含めた件数)

また、ここで最も印象的なのが丸をつけた3つのシーズンです。

移籍件数は決して多くはないものの、合計金額の面においてはトップ3のシーズンとなっているからです。

 

各シーズンの放出における合計移籍金と、それにおける金額帯ごとのシェアを表した以下のグラフをご覧ください。

 

これら3シーズンに共通する特徴として、1億ユーロを超えるビッグディールが複数回に渡り行われたということが挙げられます。

また、1つ下の5000万-9999万ユーロの価格帯が占める割合も大きく、これらのことから、数人の選手がおびただしい移籍金で放出され、それが市場全体の金額においても大部分を占めていると言えます。

 

要するに、近年の移籍金の高騰は、多くの選手の市場価値が底上げ底上げされたのではなく、ビッグクラブが求める実力・将来性を有する一部の選手の市場価値が跳ね上がったという解釈ができます。

 

ビジネス上手のクラブはどこ?

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上記の10クラブは売上金額に関しては世界最高峰である一方、本当に移籍ビジネスで利益を生み出せているのでしょうか?

そこで、次はクラブの利益を軸に深堀りしていきます。

また、本来は同一の選手の獲得時・放出時のそれぞれの移籍金を比較して検証するべきだとは思いますが、今回は移籍で黒字を出したクラブを「ビジネス上手」と呼ぶことにします。

 

以下のグラフは、各クラブの期間中の移籍金による損益を表しています。

(選手を放出して得た金額)-(選手獲得時に支払った金額)

シート 1

黒字と赤字のクラブで大きく結果が分かれた!

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10クラブのうち黒字と言えるのは、圧倒的な利益を得ているベンフィカとポルト、そしてかろうじてモナコの3クラブだけなのです。

一方、赤字のクラブでは、ローマとアトレティコ以外の5クラブは大きな赤字になっています。

ここに、選手の最終着地点とも言える「メガクラブ」と他国リーグや国内のトップクラブに選手を売る「育成クラブ」の違いが表れているのかもしれません。

一般的に「メガクラブ」と呼ばれるクラブは「育成クラブ」で育った全盛期の選手を高額で獲得する傾向があります。それに伴って放出するのはベテランとなり、獲得時よりも市場価値が下がったタイミングであることが多いです。

一方の「育成クラブ」は若手を安く獲得して育成し、キャリアのピークとなるタイミングで「メガクラブ」に高額で転売することを生業としています。

 

「ビジネス上手」はポルトガルの2クラブ

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大きな利益を挙げているのはポルトガルのクラブであるベンフィカとポルトのみでした。

優れた指導環境のもと、南米出身の選手やポルトガルの有望な若手をビッグクラブに送り続けるという継続的な取り組みの結果と言えます。

 

 

次に、以下の棒グラフは、完全移籍1件あたりの移籍金について表しています。

(グラフの上の数字は完全移籍の件数・「放出」の項目のみの上部にあるものは 完全移籍1件あたりの損益を表しています。)

シート 4 (6)

やはり圧倒的な移籍予算を持つのはメガクラブ

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トップのバルセロナは、1件あたりの獲得費用が約3000万ユーロと、ベンフィカの10倍近い数字を誇っています。

メガクラブは圧倒的なスタジアムでの集客力、放映権・スポンサーによる収入、その他ユニフォームなどにより、移籍による大幅な赤字を覆せるだけの財政基盤があると予測できます。

 

ベンフィカとポルトのスタイルは大きく異なる

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上述のように、近年の市場で大きな利益を生み出してきたベンフィカとポルトですが、その2クラブの利益の出し方は大きく異なっていることがわかりました。

シート 4 (2)

これを見ても、ベンフィカは「質」、ポルトは「量」で勝負していると言えます。

集計期間である12シーズンの中で、ベンフィカはポルトの2倍弱である151人を獲得、3倍以上の229人の選手を放出してきました。

一人当たりの放出での利益で大きく上回るポルトに対し、ベンフィカは安価で大量に選手放出をしている一方、ジョアン・フェリックスを筆頭に高額での放出によってもしっかりと稼ぐことができています。

各クラブの移籍件数と種類から読み取れる特徴

以下のグラフは種類別の選手獲得件数を表しています。

シート 3 (12)

やはりレンタル移籍は多用されている

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過半数のクラブにおいて、全放出の50%以上がレンタル移籍であることがわかります。

最も割合が大きいのはチェルシーであり、こちらはこれまでもデ・ブライネやモハメド・サラーなどといった現在のスター選手を若いときに獲得し、他クラブへとレンタルさせてきた事で有名ですね。

また、レンタルの割合が最も小さいのはベンフィカでした。先ほども紹介したように、完全移籍での選手の出入りがとても激しいクラブなのでレンタルの割合が少ないのも納得です。

そして、ユヴェントスとローマのセリエA勢がトップ2を占めている一方、スペインの2強+アトレティコのラ・リーガ勢は相対的にレンタルの件数が少なく、もしかしたらリーグ全体でも同じような傾向が見られるのかもしれません。

 

 

次に、以下のグラフは種類別の選手獲得件数を表しています。

(上の放出件数のグラフにレンタル件数も含まれているため、こちらではレンタルバックでの獲得件数は省いています。)

シート 3 (11)

どのクラブも育成機関がしっかりしている

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最もユースチームからの昇格が少ないローマでも、期間中19人をトップチームに引き上げています。

このことからも、強豪クラブは育成機関にも力を入れていると言えます。

 

ユースチームからのトップ昇格が多いのはバルサではない

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メッシやイニエスタらを産んだ世界最高峰のカンテラ、「ラ・マシア」で有名なバルサですが、トップチームとの契約をした選手数においては4番目と突出して多くないことがわかります。

それに関して最も多いのは、フランスのモナコでした。現アトレティコ・マドリードのヤニック・フェレイラ・カラスコ、現PSGのアブドゥ・ディアロやレイヴァン・クルザワ、現マルセイユのヴァレール・ジェルマンなどがモナコの下部組織出身のようです。

終わりに

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最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

移籍市場全体として移籍金が高騰しているということは容易に知ることができた一方、そのような市場の傾向を踏まえつつ、長い歴史を誇るヨーロッパサッカーにおいて10年強という短い期間から、各クラブの細かな変化を見つけることの難しさも実感しました。

今後も各種データやスタッツからサッカーに関する新たな視点をお届けできればと思いますので、よろしくお願いいたします!

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この記事を書いた人

La Liga好きの大学生。各国のサッカーをデータやスタッツを基に見ていきます! 新たなサッカー観戦の楽しみ方を提供します!

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