プロフィール
Sam Allardyce
日本語名:サム・アラダイス
国籍:イングランド
所属クラブ:フリー
生年月日:1954年10月19日([calc_age 19541019]歳)
給料
354万€(約5億円)
※ウェストハム監督時代
監督キャリアで率いた主なクラブ
ボルトン
ウェストハム・ユナイテッド
イングランド代表
クリスタルパレス
ウェストブロムウィッチ
監督紹介
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プレミアリーグの「残留請負人」として名を馳せる“ビッグ・サム”ことサム・アラダイス監督。降格の危機に瀕するクラブにシーズン途中に就任し、短期間で立て直してプレミア残留へと導く手腕が彼の真骨頂だ。
現実的なプランを用いて多くのクラブで結果を残してきたが、20-21シーズンに率いたウェストブロムでは、プレミア残留を達成できず。しかし、それまでの17シーズンはチャンピオンシップへの降格を一度も経験していなかった。
戦術でロングボールを多用することでお馴染みの彼は「退屈」と評されることも多く、時代遅れな指導者だという印象も強い。だが、アラダイスが一躍有名になったボルトン時代には、実は「先鋭的」なアプローチも取り入れていた。
戦術紹介
・フォーメーション
4-5-1・基本戦術:ロングボール志向
・攻撃スタイル:-ターゲットFWを活かした攻撃(クロスやセカンドボール回収からの攻撃)
-テクニシャンを活かした攻撃
-セットプレー
・ディフェンススタイル:リトリート、相手チームに合わせた守備構築
・戦術の特徴:相手の弱点を突く、相手の特長を消す
アラダイスの戦術と聞かれてまず最初に思い浮かぶのが、おなじみの「放り込み戦術」だろう。ロングボールを多用する戦術を駆使して、プレミアリーグで長く結果を残してきた。
アラダイスの戦術を語る上で欠かせないのは、放り込まれたロングボールを収めて決定機を生み出す選手だろう。ウェストハムでのアンディ・キャロルや、クリスタルパレスでのクリスティアン・ベンテケなどが良い例だが、彼らはアラダイスの放り込み戦術を支えた優れた”ターゲットFW”である。
また、アラダイスは、自身の古典的なイングリッシュスタイルの中に‘’テクニシャン‘’を組み込むことに長けた監督である。アラダイスの下でプレーしたジェイ=ジェイ・オコチャ(ボルトン時代)やマテウス・ペレイラ(ウェストブロム時代)などのテクニシャンは、ロングボールが中心の戦術の中で絶妙なアクセントになり、持ち前の技術を生かして活躍した。
アラダイスは、降格の危機にあるチームをプレミア残留に導く秘訣の一つとして「セットプレーの重要性」を挙げている。残留請負人としてアラダイスが率いるチームは、試合を支配して数多くのチャンスを作れるようなチームではない。アラダイスは数少ないチャンスを仕留めて貴重な勝点を得るためにセットプレーを重視しており、コーナーキックやロングスローなどに工夫を凝らすこともある。
「アラダイスブロック」
最終ラインが超低くて裏抜けからの決定機の阻止みたいなシーンも無さそうだから、退場者がわんさか出てるJリーグに向いてる戦術説 pic.twitter.com/O31YFb4PMp— サム·アラダイス【ファン】 (@bigsam_premier) March 12, 2022
アラダイスは戦力的に劣るチームを率いて結果を残すために、対戦相手を研究し、「相手の弱点を突く」「相手の特長を消す」戦術をとる。この姿勢が顕著に表れたのが、ウェストブロムを率いてアンフィールドでリヴァプールと対戦した試合である。この試合でアラダイスは、クロップ・リヴァプールの武器である敵陣のスペースを活かしたサイド攻撃を封じるべく、幅が広く縦にコンパクトな6-4-0の陣形(=アラダイスブロック)を自陣深くに形成し、リヴァプールの勢いを殺した。攻撃では、高い位置をとるリヴァプールの攻撃的な両サイドバックの裏をロングボールでひたすら突き続けた。そして、数少ないセットプレーのチャンスを仕留めて同点にし、圧倒的不利と言われた試合で勝ち点1をゲットしたのである。]
アラダイス豆知識
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・「残留請負人」、イングランドでは「消防士」とも呼ばれる。また、ピークの過ぎたベテランを安価で獲得して蘇らせることから「再生工場」の異名もあるが、今ではあまり聞かない。
・ダーツが超上手い。その腕前はプロ級と言われている。
・お茶目な人物である。リードを許している試合中にタッチラインに転がってきたボールを持ってスローインをする素振りを見せたり、至る所でダンスを踊ったり、不調だったアーセナルに対し「降格候補だ。私ならすぐに改善できる。」と言ったりして、時々物議を醸す。
・プレミア昇格を果たしたウェストハムの監督時代、日本のとある雑誌で「昇格請負人」とも書かれ、「昇格を達成するためにクラブ伝統の華麗なスタイルを壊した」と指摘された。
・日本人選手の香川真司や長友佑都がお気に入りであると報じられ、過去にはアラダイスが率いるクラブへの移籍も噂された。ボルトンの監督時代には中田英寿や西澤明訓を指導している。
・アラダイスは失読症に悩まされており、文字の読み書きに苦労をすることを認めている。また心臓病を患ったり、賄賂容疑にかけられたこともある。
・2015年に自伝「ビッグ・サム」を出版した。
・サッカーを離れた部分では、アラダイスはファストフードレストランなどいくつかの企業を運営していることで知られている。ただ日本ではあまり情報が無く、現在の動向は不明。
・20-21シーズンに率いたウェストブロムウィッチではチームをプレミア残留に導くことができず「アラダイス初降格」と報じられたが、実は1997年に就任したノッツ・カウンティを2部から3部に降格させている。
・残留請負人として降格の危機に瀕するクラブに途中就任しても、すぐに上手くいくようになるわけではない。ほとんどの場合、冬の移籍マーケットで好みの選手を獲得した後の1月、2月頃から成績が安定しはじめる。
・アラダイスは長年の夢であったイングランド代表監督の座に2016年に就任した。2006年にも就任の可能性があり、10年越しに夢が叶うこととなったが、様々な不祥事によりわずか67日で解任された。
また、一連の騒動によりイングランドフットボール界からの追放も噂された。
詳細はこちら。
・つい最近までウェストブロムを率いていたが、実はクリスタルパレスを率いた16-17シーズン終了後、監督業からの引退を発表していた。
・若い頃から強いリーダーシップの持ち主であったアラダイスは、ミルウォールでプレーしていた28歳の時になんと監督就任を打診されたが、若すぎるという理由でオファーを断った。39歳までの現役生活の中でアラダイスは空中戦の圧倒的な強さで名を馳せたが、20年間もボールをヘディングし続けたため現役引退後もずっと首に痛みを抱え続けた。
・アラダイスは、その戦術などから「時代遅れ」な指導者と言われがちであるが、アーセン・ヴェンゲルに匹敵するプレミアリーグの「改革者」とも言われる。それは、彼は現役時代にアメリカでプレーしていたことがあるが、その時にアメリカで体験した先進的な取り組みに感銘を受け、監督としてのマネジメントの中で様々な「先鋭的」な取り組みをみせていたことがゆえんである。プレミアを変えた「先鋭的」な取り組みとして有名なのが、ボルトンの監督時代のマネジメントである。クラブのコーチングスタッフを充実させたことや食事、生理学や進化させたことだけでなく、トレーニングにアメリカンフットボールの練習を取り入れたり、最新鋭のデータ分析をいち早く導入したりした。このような当時としては「革新的」なアラダイスのマネジメントによって、ボルトンはCL出場権まで狙える厄介なクラブとしてプレミアリーグに定着し、アラダイスの名もフットボール界に広まった。学習熱心な人物であるアラダイスはのちに、ボルトン大学から名誉博士号を授与されている。
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