横浜F・マリノスは10日、シーズン途中ながらアンジェ・ポステコグルー監督の退任を発表した。ポステコグルー監督はスコティッシュ・プレミアシップ(スコットランド)に所属するセルティックFCの監督に就任することも併せて発表された。セルティックはかつて中村俊輔(現横浜FC)が所属していたチームでもある。
横浜F・マリノスでのキャリア
ポステコグルー監督は2018年に横浜F・マリノスの監督に就任し、2018年はルヴァンカップ決勝進出、2019年にはJリーグ制覇、2020年にはクラブ初のACL決勝トーナメント進出を達成するなどクラブの歴史にその名を残した。
だが、その功績を得る道は決して平坦ではなかった。初年度となった2018年はパスを奪われての失点やロングシュートを決められることも多く、得点は増えたが失点も増え、残留争いに巻き込まれることになる。当然、批判の声も上がり、解任がささやかれるのも少なくなかった。
そんな中で迎えたアウェイヴィッセル神戸戦がマリノス、そしてボスが進む道のターニングポイントとなる。この試合に負ければ解任という話が内部から出てきていたという噂もあり、チーム全体に緊張感があった。そしてポステコグルー監督は当時FC東京から期限付き移籍で加入していた久保建英(現ヘタフェ)をマリノスで初めて先発で起用した。すると、久保建英の左足から先制点が生まれ勝利に貢献。この試合以降吹っ切れたといえば聞こえはいいが、安定した試合ができるようになっていったと思う。2019年はご存じの通り、シーズンを通してアタッキングフットボールを体現し15年ぶりにシャーレを掲げた。この時見た光景を私は忘れることはないだろう。
“ボス”の愛称で親しまれ選手やスタッフのみならず我々サポーターからも呼ばれている。そんなポステコグルー監督が常々語っていたのは「自分たちのサッカーをすること」だ。自身の哲学であるアタッキングフットボールを体現するための言葉として試合前にはほとんどこの言葉が出てくる。そしてこの言葉はシーズンが進むにつれて選手の口からも発せられることも多くなり、ピッチ上でアタッキングフットボールを披露する選手を支える言葉でもある。選手1人1人を”ファミリー”として捉え、チームとしての一体感を生んだ。
一方、マリノスはボスから巣立つときが思いもよらぬ形で訪れた。ポステコグルー監督が就任して4年、うれしいこと、悲しいこと、多くの経験をしてきた。我々がやるべことはポステコグルー監督が残した財産をこの先も引き継ぐこと。その先にあるのは、ビッグクラブとして存在する横浜F・マリノスであると私は思う。
なお、13日のルヴァンカッププレーオフステージからエリートリーグを率いている松永英機氏が暫定的にを指揮することも発表され、正式な後任は決まり次第発表されるという。
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