戦績(2021/1/20時点)
プレミアリーグ
14勝9分6敗 4位
チャンピオンズリーグ
グループステージ:4勝2分0敗 1位
決勝トーナメント:ベスト8進出
リーグカップ
ベスト16敗退 VSトッテナム 1−1(4ー5)
FAカップ
ベスト4進出
フォーメーション
4-3-3
現状の戦術分析
序盤はアヤックスから獲得したハキム・ツィエクを右のウイング起用し、そこからチャンスを多く作り出した。ツィエクは2020年11月15日時点で191分で3得点2アシスト。これは48分毎にゴールかアシストを記録しているペースであり、ツィエクを起点にチャンスを作る戦術は成功と言えた。
さらに、以前まではトップ下やインサイドハーフでの出場が多かったメイソン・マウントはアンカーの脇に落ち、プレーメイキングを行うシーンが増えた。
また、今期はセットプレーからのゴールが多い。キッカーはマウントが担い、こぼれ球をツィエク、チルウェルがもう1度クロスをあげる。中で反応するのは、パリ・サンジェルマンから加入したチアゴ・シウヴァとその相方に選ばれたカート・ズマだ。ズマは今季4得点、シウヴァは2得点をマークしている。
PLAYBACK
序盤から調子を上げたチェルシーは2020年12月6日時点で暫定首位に立っていた。今年のプレミアリーグを主役として引っ張っていくだろうと誰もが思っていただろう。しかし、2021年1月20日には10位まで転落。さらにはランパード監督が成績不振によって解任となった。
不調に陥るターニングポイントとなったのは2020年12月13日のエヴァートン戦だろう。チャンスメーカーのツィエクが前節の負傷によってベンチ外。その代役としてのタスクを課されたのはレヴァークーゼンから加入したカイ・ハヴァーツだった。しかし、ハヴァーツはツィエクとは違い、ドリブルや短いパスを好むタイプの選手。そのため、ツィエクがいた試合のようなプレーを展開することはできず、攻め手を欠いたチェルシーは0-1で敗戦している。
この試合を機に、チェルシーは2勝1分5敗と調子を落としていくことになる。
今季の強み
昨シーズン、ブレイクを果たした若手選手達と2億6000万ポンド(約310億円)を使い補強した選手達の融合。
改善点
数々の戦術家が指揮を取る現在のプレミアリーグ。その中でも、ランパードは選手の自主性を求めるタイプの監督であった。しかし、選手達はランパードの期待に応えられることはできず、チーム全体として統一感を失いつつあったとも言える。試合中の選手達の顔からは自信が無くなり始めていた。
チェルシーに必要とされていたものは「戦術」「統一性」だったが、ランパードの後任として監督に就任したトーマス・トゥヘル監督が見事な手腕を披露。ランパードが残した「走るサッカー」と巧みな戦術を融合させ、チームに規律を戻した。2021年3月26日現在、トゥヘル監督就任後はいまだ負けなしと絶好調。「試合で活躍すれば起用するといった」選手へのモチベーションコントロールなど、その優れたマネジメント能力を発揮している。
注目選手を記載
ここまでのトップスコアラー
タミー・エイブラハム
(2021/1/20時点)
今季のチェルシーには圧倒的なスコアラーが存在していない。一人の選手の得点に依存していないとも言えるだろう。2月20日時点では、公式戦に出場したフィールドプレーヤーの22人中15人が得点を決めているという状態だ。
とはいえ、FWのエイブラハムとしてはもっとゴールが欲しいところ。ジルー、ヴェルナーとのポジション争いも激しさを増すと予想されているが、スタメンを勝ち取れるか。ランパード前監督に認められた才能に注目だ。
前半戦のMVP
メイソン・マウント
チーム全体が自信を無くした12月後半~1月下旬でも、マウントはその輝きを失うことは無かった。強烈なミドルシュート、何度もアシストを記録したコーナーキック、献身的な守備に完璧なタイミングでスペースに飛び込むオフ・ザ・ボール…様々なシーンで気を吐くプレーを披露し、チームに貢献。
ユーティリティー性の高い選手だが、その中でも1番の武器は「ファーストタッチ」だろう。速いボールを止めるコントロールはもちろん、相手の逆を突くトラップや、あえてボールに触らずに流すことで突破をするプレーも。見ている人を驚かせるクリエイティビティが感じられる。
現在、プレミアリーグにはデブライネ、ブルーノ・フェルナンデスのようなチームを象徴する「スペシャル」な選手がいる。マウントも彼らに続き、チェルシーにとっての「スペシャル・ワン」な存在になることは近いと感じる。
そして、その時が来たら思い出して欲しい。彼を重用し、飛躍的に成長させたランパード前監督のことを。
後半戦の注目選手
ジョルジー二ョ
後半戦、トゥヘル新監督はボールを握りながら戦うことを示した。そうしたチームの中で鍵になる選手はジョルジーニョだと考える。実際、後半戦のチェルシーはダブルボランチをコヴァチッチとジョルジーニョを起用。彼らは昨シーズンから息の合ったコンビネーションを見せている。
ジョルジーニョの最大の特徴は「受け手のプレーのクオリティを高めるパス」だ。ジョルジーニョはプレー成功率が非常に高い。それだけで無く、ジョルジーニョのパスを受けた選手のプレー成功率も高い。プレスを受けている状態や、スローイン後のラフなボールも確実にボールを繋ぎ、チームを落ち着かせる。さらに、昨年からはサイドを変えるロングボールを出すことも増えた。恩師のサッリの元では見られなかったプレーであり、これはジョルジーニョ自身が1つ殻を破ったと感じている。
ジョルジーニョがトゥヘル政権でどのようにチームを動かしていくか楽しみだ。
冬の移籍市場について
補強ポイント
特になし
獲得の噂
なし
退団の噂
トモリがACミランにローン移籍。
アロンソ、ジルーに退団の噂があったものの、2人ともチームに残った。
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