昨日、チェルシーサポーターだけでなく、サッカー界を震撼させたニュース。
「チェルシーはフランク・ランパードを解任した」
偉大なるレジェンド監督の解任に対しては賛否両論もあり、サッカー界隈はこのニュースで話題が持ちきりです。そこで、今回はサポーターや有識者の意見を引用させていただきながら、フランク・ランパードの解任について徹底的に分析したいと思います。
ランパード解任についてのコメントはこちら

サポーターの意見は?
筆者も昨季以降のチェルシーの試合を完璧に追えているとは言える状態にあるわけではないので、Twitterなどで有名なチェルシーサポーターの方々の意見を掲載させていただきたいと思います。
Blue is the colour!!さん
今回の解任は妥当。Athleticから報じられた通り、チームの課題(強度不足とバランスの欠如)を余りに放ったらかしにしすぎた。解決策がライスを巨額で買い戻すというのも印象が悪い。ただランパードにとっては不憫な仕事でもあった。
— Blue is the colour!! (@CFC838) January 25, 2021
チームの課題に対し、明確な改善へのアプローチがみられなかった状況から解任は妥当と判断されているBlue is the colour!!さん。しかし、以下のようにも続けており、若手の生え抜きや昨季までの功績はたたえられるべきと述べていますね。
生え抜きを並べてアグレッシブなサッカーを展開し、補強禁止処分を乗り越えたのは高く評価されるべき。ここ数年のクラブのコンプレックスを払拭してみせた。台頭した選手たちは今後もクラブの重要な財産になる。
— Blue is the colour!! (@CFC838) January 25, 2021
テリー小松さん
崩壊したファンとコーチ陣の関係を修復し、1日で再団結を実現。チケットは一瞬で売り切れた。
声援に手を挙げて応え、試合後は度々こうして選手に呼びかけて来てくれた。
常々語るクラブ、ファンへの想い。危機的状況でも仕事を引き受けた背景。
そんな人の解任、「仕方ない」では済ませられない。 pic.twitter.com/pFTWlP093S
— Terry Komatsu (@terry_komatsu) January 25, 2021
チェルシーのために渡英し、今でもイギリスに在住してチェルシーを追い続けているテリー小松さんは解任に対し、否定的なコメントをされています。
無観客試合の今、英国でよく話題になる「サポーター不在の恩恵を受ける人」。
標的にされやすい選手、重圧を増す審判など、確かにいるだろう。
そして今、その恩恵はチェルシーが受けようとしている。もし会場にサポーターがいたら…。
身の周りにこの解任を仕方ないと言っている人は一人もいない。
— Terry Komatsu (@terry_komatsu) January 25, 2021
筆者もTwitterやFacebookの意見を見てみましたが、海外のサポーターも反対派の方が多そうですね。
うるとらんぷすさん
チェルサポから非難を浴びるかもしれないけど、私は油さん含め幹部は適切なタイミングで決断したと思いますよ。経営者的な観点で見れば。株の損切りのようなもの。
CLやシーズン折り返しなどというタイムフレームの上にあらゆる材料を並べて、「続投」と「解任」を天秤がけしたときに解任が勝った。
— うるとらんぷす (@Ultra_lamps) January 25, 2021
個人的な感想は「もちろん悔しい」と述べつつも、自身の見解として「クラブの判断は正しかった」と語っているうるとらんぷすさん。「天秤にかけたうえで」という言葉からも、レジェンド監督特有のいろんなプレッシャーを考察できますね。
また、蹴球ジャパンTwitterによるアンケート結果はこちらです。
【アンケート】
フランク・ランパード解任は…?
— 蹴球ジャパン@コアなサッカーファン向けメディア (@Kerikyu_japan) January 26, 2021
海外の有識者たちのコメント
次は海外の有識者のコメントを見ていきたいと思います。
ペップ・グアルディオラ
現マンチェスター・シティ監督
Pep on Lampard news: "People talk about projects and ideas. They don’t exist. You have to win or you will be replaced. I hope to see Frank soon and go to a restaurant with him when lockdown finished."
— Simon Stone (@sistoney67) January 25, 2021
「人々はアイディアとプロジェクトについて語るが、多くの場合そんなものは存在しない。勝利しなければ、新たな監督に交代するだけだ。ロックダウンが終わったら、フランクとは一緒にご飯を食べたいね」
ホセ・モウリーニョ
現トッテナム・ホットスパー監督
「私はいつも私の同僚が職を失う姿を見て悲しくなります。その中でもフランクは普通の同僚ではありません。彼は私のコーチのキャリアの中で最も重要な人物の一人です」
ギャリー・リネカー
元イングランド代表。BBCコメンテーター
Reports that Frank Lampard will be sacked by @ChelseaFC today. Utterly ludicrous after his first bad run. It was always going to need time given so many new signings feeling their way into a new club. Patience being a virtue is seldom recognised in this sport. They never learn.
— Gary Lineker 💙💛 (@GaryLineker) January 25, 2021
「彼の最初の不振の後(の解任)には、まったくもって滑稽だ。多くの新加入選手が新しいクラブへの適応を感じていることを考えると、常に時間が必要だった。忍耐が美徳であることは、このスポーツではめったに認められない。彼らは決して学ばない」
解任の分析
Goalのチェルシー担当であるNizaar Kinsellaさんはランパード政権下のチェルシーの特徴を以下のようにまとめています。
Mason Mount made more appearances under Frank Lampard than any other player (80). In his last game, he made him the youngest captain since John Terry.
Tammy Abraham is Lampard's top scorer with 29 goals.
Points-per-game was only 1.67, which is the lowest in the Abramovich era
— Nizaar Kinsella (@NizaarKinsella) January 25, 2021
メイソン・マウントは、フランク・ランパードの下で他のどの選手よりも多く出場しました(80)。彼の最後のゲームで、彼はジョン・テリー以来最年少のキャプテンになりました。
タミー・アブラハムは、ランパード政権下において、トップスコアラー(29得点)です。
1試合あたりのポイントはわずか1.67で、これはアブラモビッチ時代で最低でした。
ランパードの功績
若手の台頭
先のツイートにもある通り、若手を大きく成長させた手腕は評価されるべき功績であり、今後に向けた明るい遺産でしょう。
特にチェルシーという世界屈指のビッグクラブにおいてメイソン・マウントやタミー・エイブラハム、ビリー・ギルモアといったアカデミー出身選手が活躍できたことは成功事例ですね。ユース出身選手の流出を繰り返していた悪いサイクルを断ち切ったという意味でも、ランパードの功績は大きいでしょう。
2019シーズンの功績
昨季は移籍禁止処分となり、補強が1人も許されないという厳しい状況下で開幕を迎えました。そのなかで、当時は監督としてダービー・カウンティでの指導歴しかなかったランパードの就任となれば、下馬評が低くなるのも自然の流れです。
しかし、そんな危機的な状況を乗り越え、プレミアリーグを4位でフィニッシュ。CL出場権を獲得することにも成功し、今季開幕前は大型補強に成功しています。このランパードの功績は称賛を浴びるべき理由の1つですね。
ランパードの解任理由
・直近の成績
終盤5試合で1勝1分3敗。ライバルのアーセナルに敗れてからは攻守のバランスにおいて難があり、うまく舵取りができていなかった印象を持ちます。
また、ランパードの戦術家としての評価は懐疑的な意見もあり、チームの課題解決へのアプローチが見られなかったのも理由の1つでしょうか。
ルートン・タウン戦では快勝したものの、その後解任になったということもあり、この試合前から人事については決まっていたのではないかという見解も多いです。
・マリナ氏との対立
就任後、クラブサポーターやフロント・チームを団結させたとされているランパード。それだけレジェンドの帰還はブルーズのサポーターだけでなくクラブ全体へ期待感を抱かせたものでした。ですが、The athleticによると、ランパードはチェルシー役員であるマリナ・グラノフスカイア氏との対立があったと報じられています。
アブラモヴィッチとともにロンドンへやってきて、以来ブルーズで非常に大きな権力を持つようになった役員のマリナ氏との対立も解任理由の1つにあるのでは…とささやかれている様子です。
チェルシーの今後展望
後任はトーマス・トゥヘル氏が濃厚
この時期での解任ということもあり、ほぼ後任が決まっているということが妥当でしょう。Sky Sportsのジャーナリストであり、信憑性の高い人物としても知られるFabrizio Romanoも以下のような発信をしています。
The announcement of Thomas Tuchel as new Chelsea manager is ‘just a matter of time’… paperworks and contracts set to be completed. 🔵🤝 #CFC #Chelsea
— Fabrizio Romano (@FabrizioRomano) January 26, 2021
「チェルシーの新監督としてのトーマス・トゥヘルの発表は『時間の問題』。事務処理と契約は完了する予定です」
戦術家として世界最高峰の監督であり、実績も十分なトゥヘルの就任には期待の声が上がっており、後任人事としてはポジティブな意見がほとんどです。ランパードが作った規律を重視し、アグレッシブさと貢献性を兼ね備えたチームを引き継ぐと考えたら、チェルシーファンでなくても楽しみですね。
ネックとなりそうなのはフロントとの関係性でしょう。PSGの解任もフロント陣との対立が原因だったとされており、特にレオナルドSDとの関係性は悪かったと報じられていますね。
チェルシーでも重要な存在として君臨し、よりその権威が強まっているマリナ氏との関係はトゥヘルにとって最大の障害となるかもしれないです。
また、就任時期については、次のウルヴズ戦にも指揮できることを期待しているとのこと。
'It will be fascinating to see how he negotiates the politics of Chelsea and Abramovich’s world even if he insists that – at heart – he just wants to be a coach.' @JBurtTelegraphhttps://t.co/Qd8PMWlaYR
— Telegraph Football (@TeleFootball) January 25, 2021
選手同士の対立?!
Antonio Rudiger is understood to have clashed with Cesar Azpilicueta on more than one occasion, as Chelsea’s captain attempted to ease tensions between players at Chelsea’s Cobham training ground.
— Simon Phillips (@siphillipssport) January 25, 2021
Daily TelegraphのMatt Lawさんによると、キャプテンであるセサル・アスピリクエタとアントニオ・リュディガーがもめたとの話があるようです。
ランパード政権ではユース出身の若手選手組が台頭したのは好材料でしょうが、その一方で出場機会を得られなくなった選手も多いのは事実。そのため、選手間で派閥ができてしまっており、溝があると噂されているようですね。
Some of the young players who have performed so admirably for Chelsea and Lampard are believed to have complained about the treatment they received from disgruntled team-mates & accusations of certain graduates being favoured have not always been solely confined to social media.
— Simon Phillips (@siphillipssport) January 25, 2021
一部には「ユースだから特別扱いを受けている人も多いと批判される」という意見に不満を持っているとも言われています。後任監督は選手たちを1つの集団にまとめあげることも重要な役割となりそうですね。
まとめ
IQ150(0.1%しかいない)という伝説を持つ頭脳とサッカーに対する深い理解と選手としての実績…そして何より仕事への情熱を兼ね備えた監督は稀有でしょう。
彼の今後はチャンピオンシップからの再スタートを予想する声が多いです。ダービー・カウンティでのキャリアは申し分ない実績だったとも言え、もし就任することが決まったら、再びイングランドサッカー界のビッグニュースとなるのは間違い無いでしょう。
ウェイン・ルーニーやジョン・テリーといったイングランドのレジェンドたちと、今度は監督としてぶつかる日もごく近い将来かもしれないですね。かつてのアイドルだった選手たちが再び相見えるのが楽しみです。
チェルシーにおける「フランク・ランパード第一次政権」は終了しました。
ですが、マウントやエイブラハムを筆頭とするチェルシーアカデミー出身の選手たちがこれからも活躍することができたら、ランパードの功績によるものと言っても過言では無いはずです。
彼の今後のキャリアが素晴らしいものになると信じています。いちフットボールファンとして「スーパーフランク」を応援したいと思います!
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