昨シーズン、欧州王者にバイエルンが君臨し、今季も欧州カップ戦で出場6クラブが全てグループリーグを突破(ヴォルフスブルクはELプレーオフで敗退)するなど欧州の舞台で、存在感を示すブンデスリーガ。今回はドイツ国内で繰り広げられている第20節終了時点での上位争いをいくつかのチームの目線から振り返りたい。
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今季のブンデスリーガの特徴
今季のブンデスリーガはバイエルン、ライプツィヒ、レバークーゼンの3チームが首位に立つことが多い。上位争いは混戦となっている。絶対王者の対抗馬と期待されたファブレ体制のドルトムントは直接対決で敗れることが多く、下位からもうまく勝ち点を伸ばせず後退。テルジッチに監督を交代するなど、少し今までと違う様相を呈している。
また、20/21シーズンは過密日程の影響からか、上位チームのいわゆる取りこぼしが増えている。現状17位と降格圏に沈むマインツはライプツィヒに勝利し、ドルトムントに引き分け。上位を争いたい2チームからすると痛い結果となった。また、第3節終了時点で全チームが勝ち点を取りこぼすなど非常にスリリングな展開になっている。
また、今季は各チームでU-18年代に当たる選手の活躍が目覚ましい。バイエルンの17歳ジャマル・ムシアラは開幕戦でシャルケの息の根を止めるダメ押しゴールを決め、同じく17歳でレバークーゼンに所属する、フロリアン・ビルツは今季すでに3得点を挙げ、攻撃を牽引している。他にも、ユスファ・ムココ(ドルトムント)は16歳28日で最年少ゴール記録を更新し、同僚のジョバンニ・レイナも17歳にしてチームの主戦力となっている。ライプツィヒはU-23世代のノルディ・ミュキエレ、ダニ・オルモといったタレントをそろえる。下位チームにも21歳のマテウス・クーニャ(ヘルタベルリン)が6得点3アシストと核となる活躍をみせるなど、今シーズンは特に若手の活躍が光るリーグと言えるだろう。
注目ポイント
注目チーム
チーム①:RBライプツィヒ
近年、様々な話題でメディアを盛り上げるRBライプツィヒ。昨季CLベスト4、リーグ戦3位と1部昇格から5年で急速に強豪クラブの仲間入りを果たした。今季もすべてのカップ戦で勝ち残っており、上々のシーズンを送っている。開幕から5戦を4勝1分で終え、その後も順調に勝ち点を積み上げてきた。
今季はエースFWティモ・ヴェルナーの他にも、2桁得点を記録したFWパトリック・シックもチームを去り、攻撃力低下に大きな懸念があった。だが、これは杞憂に終わりそうだ。ナーゲルスマンはコンセプトをチームに浸透させており、選手たちはゲームモデルに沿って柔軟に戦えている。ヴェルナーのような得点源の選手こそ見当たらないが、得点数は20試合で35と、得点力不足にはまるで見えない。また、失点はわずか17と堅守も健在。昨季構築した守備をベースにさらに白星を積み上げることのできるチームとなっている。
戦術面に目を向けると守備時の4バックが攻撃時に速やかに3バックとなる形態をとっており、SBであるアンヘリーニョがMFマルセル・ザビッツァー、FWユスフ・ポウルセン、FWエミル・フォシュベリらと共に4得点でチーム内得点王であることが特筆点である。縦に速い攻撃とボールを保持した人間との連動性が非常にハマっている印象だ。これはCLグループリーグでのマンチェスター・ユナイテッド戦でも火を噴いた。今季は攻撃面だけではなく、フランス代表DFウパ・メカノと昨季は離脱していたDFヴィリ・オルバンのCBコンビは非常に強力。身体能力はずば抜けており、個での勝負もお手の物だ。失点は昨季より減少し、ますます評価を高める33歳の指揮官ナーゲルスマン率いるチームは初のタイトル獲得に向けて視界良好といえるだろう。
チーム②:バイエルンミュンヘン
続いては欧州王者として9年連続の王座戴冠を目指すバイエルンを取り上げたい。リーグ開幕戦はいきなり8点を奪いシャルケを粉砕する衝撃的な幕開けとなった。ロベルト・レバンドフスキの華麗なラボーナや、17歳ムシアラの初ゴール。今期も赤い王者が独走態勢に入ると思われた。
だが、次節ハイラインの裏を天敵ホッフェンハイム徹底的に突かれ、1-4の惨敗を喫する。この試合でFWアンドレイ・クラマリッチにはドッペルパックを決められ、暗雲が立ち込めた。その後は持ち前の得点力で勝ち星を重ねるが、20試合で26失点。比較的オープンな展開になりやすいブンデスリーガではあるが、強力DF陣とマヌエル・ノイアーの力を考えると明らかに失点が多いのは気になる点だ。ただ、2020年最終戦でレバークーゼンとの首位攻防戦を制してからは、対抗として期待されたチームの失速も影響して現状2位ライプツィヒに勝点7差をつけての首位。至上命題である国内制覇は射程圏内に入ったか。
ただ、セーフティなリードにも見えるが、DFBポカールで2部のホルシュタイン・キールにPK戦の後に敗戦するなど絶対的な強さは翳りを見せ、2月はCWCにCL決勝トーナメントと過密日程は緩和されていない。このことを考えると絶対王者に付け入る隙はまだまだありそうだ。
注目チーム③:そのほかの注目チーム
現状トップを走るのは上記の2チームだが、ほかに活躍の目立ったクラブが複数ある。1つ目のクラブは長谷部誠、鎌田大地の日本人選手を擁するフランクフルト。長谷部に関しては今季での引退が既定路線となっていたが、37歳にしてスプリントでチーム最速をマークするなど、いまだにトップクラスで活躍できる選手であることを証明している。チームは精神的・戦術的支柱の一人であったダビド・アブラアムがコロナ禍の影響を受け退団するなど、順風満帆というわけではないが、トップスコアラーのアンドレ・シウバは絶好調。他にも、フィリップ・コスティッチ、鎌田などを含め好調の既存攻撃陣に加えレアル・マドリードでは苦戦が続いたルカ・ヨビッチが復帰した。今季は欧州カップ戦もなく、ポカールもすでに敗退。他のチームが過密日程で苦しんでいることを考えれば、大きなアドバンテージとなりうる。未だ2敗のチームは後半戦のダークホースとなりそうだ。
ピーターボス監督率いるレバークーゼンはムサ・ディアビ、レオン・ベイリーの高速WGを活かし、第12節までは首位をキープした。カイ・ハフェルツやケヴィン・フォラントを放出し、攻撃面の不安を挙げる声もあったが、アルゼンチンストライカーのルーカス・アラリオ、前述のレオン・ベイリーが8得点など破壊力は維持できている。ただ、年明けからは勝ち星が伸びず、ポカールも4部のエッセンにまさかの敗戦。ボス監督は失望と怒りを述べた。その中でも、やるべきことの継続を述べており攻撃志向のサッカーを復活させ、再びの上位追撃を目指す。
そのほかにも強固な守備とベホーストの得点力で3位につけるヴォルフスブルクや不調の中でもがきながらもテルジッチ体制で立て直しを図る若き集団ドルトムント、前半戦でバイエルン、ライプツィヒに土をつけたメンヘングラートバッハなどが虎視眈々と上位の座をにらんでいる。
まとめ
ブンデスリーガには今季いくつかトピックがあった。PKの連続成功記録が昨季から合わせて35本も最長記録となっていた。だが、この記録は7節、ベホーストの失敗で途絶えたのだ。PK記録でいうとマインツがチームの連続成功記録を伸ばしている。また、特筆すべきなのはホームアドバンテージの消滅だ。黄色の壁で有名なドルトムントがホームで敗れ、シュトゥットガルトに至ってはホーム未勝利が開幕からしばらく続いていた。
コロナ禍でこうしたトピックがあったブンデスリーガ。欧州の舞台で他のリーグのと戦うことが多い。その情報収集のために、一度目を向けてみてはいかがだろうか。
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