国内リーグ7冠、つい2年前まではCLを戦っていた名門シャルケ。19-20シーズンの2月から今シーズンの第26節までの42試合で得た白星はわずか2つと、低迷が続いている。昨季は前半戦の貯金で残留を果たしたが、今季は勝ち点10、得失点差は-56の最下位。入替戦出場となる16位のケルンとは残り8試合で13差と現実的には30年以上在籍した1部の舞台から退くことは避けられそうにない。ヨーロッパリーグ制覇の経験もあるシャルケに一体何が起こっているのだろうか。
戦績
(2021/3/21時点)
リーグ戦:1勝7分18敗
DFBポカール:3回戦敗退
フォーメーション
現状の分析
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今季のシャルケはけが人が続出中。現状、トップチームのGKが1人しかおらず、ベンチには下部組織の選手を登録しなければならない状態だ。得点もこれまで16得点しか挙げられておらず、19歳の新星マシュー・ホッペが5得点と気を吐いてはいるが、彼に頼らざるを得ない状況となっている。かつてのエースであるクラース・ヤン・フンテラールが冬の移籍市場で復帰するも、得点力不足は改善せず。クラブは膨大な負債を抱えており、残念ながら選手がフットボールに集中できる環境とは言えないだろう。
今季の特徴
クラブは1000万ユーロ以上の負債を抱え、前会長が人種差別騒動を起こしたこともあり、フロントも迷走している。監督もここ1年で4人目とクラブのごたごたは絶えない。選手からのフロントへの不満や不信を述べる記事などもあり、フットボールへ集中ができていない状態と言えるだろう。
実はサポーターに追われた前会長のテンニスはこのシャルケの危機に出資を申し出たものの、取締役会は提案を否決。このクラブの判断にも賛否両論が巻き起こっている。まずはフロントと選手、そして、サポーターのクラブ一丸を目指してほしい。
シーズン前の評判
シーズン前は財政危機から監督の変更もできなかったため、苦戦は強いられるだろうという意見が多かった。昨季終盤の不調ぶりから残留争いを予想する声も少なくなかったが、選手層だけでみると降格はしないだろうという見解が大勢だっただろう。
PLAYBACK
監督の変更が多く、戦術をチームに浸透させることは難しかった。それでも、失点を抑えた試合では1勝5分1敗となっている。上位クラブ相手に失点した際、そのままズルズルと点数を奪われ続ける傾向があるため、チームを引き締めるディフェンスリーダーが必要だろう。
改善点
なんといっても急務なのが守備の改善で、26試合中19試合で複数失点という有り様だ。しかし、ここでも財政的な問題で主戦DFのオザン・カバクをレンタルで放出せざるを得なかった。さらに前述のとおりGKのラルフ・フェアマンとフレデリク・レノウは負傷離脱中で、現状マウスを守るのは第3GKのミヒェル・ランガー。複数失点したゲームでは2分17敗となっているため、最優先で解解決すべきポイントだろう。
抽象的な言葉になるが、名門復活のカギとなるキーワードは「気持ち」となりそうだ。いわゆる、勝てないんじゃないかという空気がチームを覆ってしまっている。もちろん、気持ちだけで勝てるほどブンデスリーガは甘くはないが、名門の意地を見たい。
注目選手
前半戦のMVP
ポジション:CF
背番号:43
生年月日:2001年3月13日([calc_age 20010313]歳)
身長:191㎝
利き足:右
国籍:アメリカ
2021年3月21日時点では、ここまでチームトップの5得点。今季唯一勝ち点3を挙げたホッフェンハイム戦で3得点を記録すると、続くフランクフルト戦、ケルン戦でも得点を記録した。「ゲルゼンキルヘンの雄」のライジングスターとして期待される。若さゆえかパフォーマンスが安定しない部分はあるが、才能はピカイチ。2023年6月まで契約を延長したのは、将来的な売却を視野に入れた経済的事情もあることは予想されるが、この20歳が沈みゆく名門を救うことを期待したい。
後半戦の注目選手
ポジション:FW
背番号:21
生年月日:1983年8月12日([calc_age 19830812]歳)
身長:186㎝
利き足:右
国籍:オランダ
低迷するシャルケを救うためにアヤックスから帰還した元オランダ代表FW。26試合でわずか16点と苦しむ攻撃陣を、そしてチームを救うゴールを奪うためにペナルティーエリア内で自慢のスキルを発揮するだろう。
まとめ
チームは現状タスマニアベルリンが記録したシーズン最低勝ち点である10と同じ数字。このまま8連敗でシーズン終了となると、その不名誉な結果に並んでしまう。
それでも、来季はマインツからダニー・ラッツァの加入が決定しているなど、チームも再建に動いている。同じく低迷していたマインツは2月からの7戦で4勝2分1敗と勝ち点を14積み上げた。
今季、シャルケに残された試合数は8。得失点差を考えると、残留を果たすためには14の勝ち点が必要という厳しい状況だ。しかし、たとえ30年ぶりの2部へ赴くことになったとしても、名門シャルケの奮起に注目したい。
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